シンポジウム「土地の記憶と建築による地域の再生」


・日時:2019126日(土曜日)午後1時〜

・場所:同志社大学今出川キャンパス 良心館305教室

 

・主催:同志社大学 エコ美学センター(エコ・エステティックス&サイエンスセンター)

 代表:清瀬みさを 同センター長 同志社大学文学部美学芸術学科教授

・無料、一般来聴歓迎

・連絡先:mkiyose@mail.doshisha.ac.jp

 

■シンポジウムの課題:

 土地の記憶とは何かを踏まえつつ、建築物の再生、活用による地域の活性化事例を通じてその意義と可能性を考えること

 

■主旨:

  明治以降の都市の近代化の中、昭和40年代から政府は都市の健全な発展等を目的とする都市計画法や建築基準法を、

 各自治体も土地に根ざしつつ良好な都市景観を形成することを目的とした景観条例を制定し、様々な取り組みを行ってき

 ました。しかし、バブル崩壊以降の日本社会は、少子高齢化、都市部への人口集中化と空洞化、過疎地の「限界集落」、「シャッター商店街」、空き家問題が深刻化しています。経済、雇用の活性化無くして根本的な解決は望めない難問です。

  そのような状況の中で生活や文化の器であり、かつ景観を構成する建造物に関しては、文化庁が特色のある歴史的建造

 物を各種文化財として指定・保護する制度、市町村との連携で城下町、宿場町、門前町など歴史的な集落・町並みの保存

 を目的とする伝統的建造物群保存地区指定制度を設けています。また個別の歴史的建造物をレストランやホテルに活用す

 る例は全国で多く見られますし、直近では奈良刑務所をホテルに改修し活用する計画など官民共に様々な取り組みがなさ

 れています。既存の建築物の再生については、リフォームのみを専門的に扱う建築事務所もありますし、テレビの【ビフ

 ォーアフター】は視聴率を誇る人気番組です。そのような流れの中で、戦前までに建造された伝統的な木造軸組構造の民

 家の持つ価値を見直し、再生することで地域活性化を展開している事例もあります。

  エコ美学センターのシンポジウム「土地の記憶、建築物による地域の再生」では、建築家や地域住民個人に発する地域

 再生、活性化の事例、また京都市の行政による空き家対策の取り組みを通じて、鉄筋コンクリートやレンガ造り建築と異

 なり、移築・再生ができる伝統的な木造建築のエコロジカルでエステティックな再生方法と可能性を考える企画です。

 

「土地の記憶と建築による地域の再生」 シンポジウム次第 

■エコ美学センター長 清瀬みさを

 シンポジウムの趣旨説明 

 

■講演:

 1.カール・ベンクス(Karl Bengs)氏 「よみがえる古民家と地域の活性化」

    カール・ベンクス&アソシエイト有限会社 代表取締役

 2.森本アリ氏 「塩屋、ちいさなまちのあそびかた」

    音楽家 旧グッゲンハイム邸運営 シオヤプロジェクト主宰

 

■報告:

 矢田部衛氏 「京都市の空き家対策について」

 京都市都市計画局まち再生・創造推進室空き家対策課長

 京都市域の空き家、町家の保存・再生・活用の現状と行政の取り組み

 

講演者紹介

1.カール・ベンクス氏

1942年生、76歳、ドイツ人建築デザイナー。亡父が遺したブルーノ・タウトの書籍が日本との架け橋となる。1966年に空手留学のために初来日、7年間日本に滞在するうちに日本の木造建築に魅せられる。以降、ドイツへの日本の古民家移築・再生事業を手がけ和の文化の紹介につとめる。日本の木造建築の伝統は世界的な高水準にあるにもかかわらず、戦前までに建てられた貴重な建物が看過され失われることを憂い、木造文化と住まいの本質を問う古民家再生を始める。1993年より新潟県十日市市郊外の限界集落・竹所に古民家を購入・再生しアルゼンチン出身の妻との居と定め、まつだいで廃業した老舗旅館建築を改修して事務所とし、「竹所プロジェクト」など地域の活性化に貢献する。日本国内で新潟を中心に東京、栃木、埼玉に50軒以上の古民家を再生し、その古民家再生事業に対して2001年に「新潟木の住まいコンクール」入賞、2007年に第2回安吾賞 新潟市特別賞受賞、2017年ふるさとづくり大賞(内閣総理大臣賞)を受賞。

古民家を再生した自邸の双鶴庵

 

 

2.森本アリ氏

1974年生、44歳、音楽家。明石海峡を見下ろす神戸の西の端の小さな町、塩屋生まれ。ベルギー人仏教学者と日本人ステンドグラス作家の母が移築・再生した古民家に育つ。父の故郷ブリュッセルへの留学を経て帰国。明治末期にドイツ人貿易商が建てたグッゲンハイム邸が解体されることになった時に一家で買取り、音楽家として活動する傍ら、この館の保存・活用に携わる。そして、すり鉢状の急勾配の地形に明治、大正期の異人館と普通の家々が肩寄せ合うように建っている小さなまちの豊かな将来を構想するようになり「塩屋まちづくり推進会」を立ち上げ、まちの住民を巻き込むシオヤプロジェクト、レディメイド・シオヤ、シオヤアキヤ古家再生、しおや歩き回り音楽会など各種イベントを開催し、写真集「塩屋百人百景」「塩屋百年百景」さらに「塩屋借景」を発行する。

グッゲンハイム邸、A.N.ハンセル設計、明治45年